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SHOWCASE
YOUR ART AT
OUR
HOTEL
伊勢宮町ホテルの客室を飾る
アーティスト募集
10部屋 + 5箇所
全15名のアーティストを募集(※募集枠を追加をしました)
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このたび、私たちのプロジェクトに参加いただくアーティストが決定しました。
選考委員は2名。
想像を超える多くのご応募の中から、私たちホテルのコンセプトにあった感性と表現力にあふれた素晴らしいアーティストを選考させていただきました。
■ 石崎 尚(いしざき たかし)
愛知県美術館学芸員
1977年東京都生まれ。多摩美術大学大学院美術研究科修了。世田谷美術館、目黒区美術館を経て2012年より現職。
■ 安原 真広(やすはら まひろ)
ウェブ版「美術手帖」副編集長
1987年神奈川県生まれ。日本大学芸術学部文芸学科卒業、一橋大学言語社会研究科修了。『装苑』編集部を経てウェブ版「美術手帖」編集部。
2023年より現職。日本大学芸術学部非常勤講師。
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全国からご応募くださったすべてのアーティストに心よりお礼申し上げます。
これから始まる新たな創造に、どうぞご期待ください。
まずは、そのアーティストのお名前を発表させていただきます。
※順不同
■ 興梠 優護 / 美術作家 Web→
1982年 熊本県生まれ
2009年 東京藝術大学大学院美術研究科修了
人体のモチーフを軸に、光、色彩、視覚といった曖昧で移ろいゆくものに着目し、絵画性の拡がりを探る試みを行う。近年は、国内外に中長期的に滞在し、根源性と現代性という観点からリサーチと制作、展示を行なっている。主な滞在先としてイギリス、スペイン、ブルガリア。主な展覧会に2025年「興梠優護展」 清力美術館, 福岡 2022年「KYOTO STEAM 2022」 京セラ美術館 東山キューブ, 京都など。
選評 ____
愛知県美術館 学芸員/石崎 尚
人体という、ある意味では絵画の基本中の基本ともいうべきモチーフを使いながらも、なお今のこの時代にふさわしい絵画のあり方を模索しています。各地でレジデンス(現地滞在制作)を行いながら制作を続けており、三重県での滞在経験もお持ちです。うつろいゆく光という作品のテーマが、どのように客室の空間と響きあうのかが楽しみです。
■ 今田 莉野生 / ガラス造形作家 Web→
言語に基づくアイデンティティ、感情の刹那を掬い上げることをテーマに素材としてのガラスを用いるだけでなく、思考の道具やそのうつわとしてガラスを活用し多角的な制作をおこなっている。2021年にニューヨーク州のロチェスター工科大学(RIT)にて修士号を取得し、ノースカロライナ州 のPenland School of Craft、ベルギー、ロンメルの GlazenHuis 美術館などから、賞やアーティスト・イン・レジデンスの機会や活動を得ている。2024年より、金沢卯辰山工芸工房にて、技術研修者として所属している。
選評 ____
愛知県美術館 学芸員/石崎 尚
透明度の高いガラスを用いてオブジェを制作してきた作家です。吹きガラスは文字通り息を吹き込んで形を作っていく技法ですが、そこに言葉を発するという行為にまつわる、作者ならではの思索が重ねられます。器としてではないガラスの、多様なありかたを見せてくれる引き出しの多い作家なので、今回の空間に合わせた展開が期待されます。
■ 大平 由香理 / 画家 Web→
日本画の画材と技法を用いて自身が出会った風景を描く。各地で滞在制作を行い、その土地で出会った光景や事象を元に作品制作を続けている。東北芸術工科大学大学院 日本画研究領域修了。近年の主な展覧会に、「北アルプス国際芸術祭」(長野、2017年)、「VOCA展」上野の森美術館(2019年)、「アーティスト・イン・レジデンスつなぎ」つなぎ美術館(熊本、2019年)、「第 8 回 東山魁夷記念日経日本画大賞展」上野の森美術館(2021 年)、「アーティスト・イン・ミュージアム AiM Vol.12 大平由香理」岐阜県美術館(2022年)、吉野石膏美術振興財団在外研修員 採択(研修国 アメリカ、2024年)
選評 ____
ウェブ版「美術手帖」副編集長/安原 真広
壁画を含む大型の平面作品を数多く手がけており、周囲の環境と対話をしながら作品にいかなる強度を与えるのかを思考する経験が豊富だと感じました。屋外作品の経験から、自然光のなかで色調をどのように作るのか、ということについても意識が高そうです。天候の変化や昼夜の明かりによって様々に環境が変化するホテルの部屋で、どのような作品を生み出すのか楽しみです。
■ 金子 未弥 / 現代美術作家 Web→
神奈川県生まれ。2017年多摩美術大学大学院美術研究科博士後期課程修了。未発見の小惑星観測所主宰。 「人の記憶も都市を構成する要素であるならば」という考えのもと、目に見えない人々の記憶に基づいて場所を読み解くプロジェクト《未発見の小惑星観測所》を各地で実践している。 主にインスタレーションや公開制作という手法を用い、参加者とのコミュニケーションを通じて浮かび上がってくる目に見えないコミュニティの形態を追求した作品を発表している。
photo by 笠木靖之《未発見の小惑星観測所_黄金町秋のバザール》
2023
H2150mm × W2150mm
素材:万能板、単管、インク、電話番号
制作協力:林敬庸、松尾淳平
選評 ____
愛知県美術館 学芸員/石崎 尚
作品が設置される場所や滞在した場でのリサーチを通じ、そこに潜んでいた詩的な物語をすくいあげる作家です。毎回プロジェクトによって作品の形式は大きく変わるのですが、国内外を問わず滞在制作の多い方なので、旅する人がひとときを過ごすホテルの客室というのは、格好の展示場所になるのではないでしょうか。
■ 久野 彩子 / 現代美術作家 Web→
1983年 東京都生まれ
2008年 武蔵野美術大学工芸工業デザイン学科 金工専攻 卒業
2010年 東京藝術大学大学院美術研究科工芸専攻(鋳金)修士課程 修了
“都市の営みの痕跡を俯瞰することで見えてくるもの”をテーマに、緻密な表現を可能とするロストワックス精密鋳造技法を主に用い、真鍮やブロンズといった金属に置き換え自作のパーツを作り出す。人間が手を加え作り出してきたものから見えてくる輪郭や面の形体の要素を切り取って形にし、構築させることによって、幾重にも時を重ねスクラップアンドビルドを繰り返し、構造物を増殖させた先に見える“景色”を表現する。
選評 ____
愛知県美術館 学芸員/石崎 尚
金工の技術をベースにしながら独自の世界を作り上げている作家です。細部まで作りこまれた立体作品は、近づいたり離れたり、あるいは様々な角度から眺めてみたりすることで異なる表情を見せてくれると思います。コミッションワーク(受注制作)の経験も豊富な方なので、どのような作品を見せてくれるのかを期待しています。
■ 安里 槙 / 美術家 Web→
1984 年沖縄県生まれ。美術家。沖縄県/千葉県在住。2008 年に琉球大学(人間科学科)を卒業後、沖縄県立芸術大学(絵画専攻)へ進学。2015 年同大学院修了。2016年-2017 年ミュンヘン美術院研究生。主に光、水、風といった形のない自然現象に興味を持ち、自然の法則や人をとりまく環境・文化的状況について身体感覚や空間知覚をもとに平面・ミクストメディア・インスタレーション等の制作を行っている。
選評 ____
ウェブ版「美術手帖」副編集長/安原 真広
平面的な素材を精緻な構成によって組み合わせ、ときには手彩色も加えて生み出された、ディティールの重なりを意識しているであろう立体感のある造形性が興味深いと感じました。空間と作品との関係性をつねに探求してきた作家だと思いますので、ホテルの部屋という住空間を支持体としてどのようにとらえ作品を展開できるのか、興味をそそられます。
■ 近藤 洋平 / 美術作家 Web→
空間や素材の特徴を読み取り、そこに小さな変化をもたらす作品を制作しています。場所に寄り添いながら、素材との関係の中で生まれる構造やつながりを見出そうとしています。主な展覧会に、個展「RGB」(2023年|ギャラリー小さい家/岐阜)、「EXPO PARK ART&MUSIC WEEKEND」(2022年|万博記念公園/大阪)、「whereabouts」(2017年|Gallery PARC/京都)など。
選評 ____
愛知県美術館 学芸員/石崎 尚
発光する素材とそれを操作するデジタル技術を使って、色という現象と私たちの間の関係を問い直すような作品を作る方です。今回、作品が設置される客室の内装も、外光や光を意識したものになるようなので、それとどのような調和を生み出せるかがポイントです。空間全体を考慮した作品を得意とする作家なので、腕の見せどころだと思います。
■ ささき はるこ / 画家 Web→
石川県生まれ。2023年多摩美術大学絵画学科日本画専攻卒業。第17~19回上月財団クリエイター育成事業助成対象者認定。姉妹の姿を描いた日本画「おんぶにだっこ」(2022)が第7回石本正日本画大賞展にて入選、浜田市立石正美術館にて展示。卒業制作「乙女の時間1917-1977」(2023)が優秀作品に選出、国立新美術館にて展示。2023年、2025年にはKyodo Weekly表紙、全日本小学生柔道育成プロジェクト2023のパンフレット表紙に水彩イラストが選出。これまでに個展【小さな小さな仲間たち】(2022)、【乙女の時間】(2024)を開催。”話し声が聞こえてくる絵”をテーマに日本画やイラストを制作している。趣味は幼少期から親しんできたクラシックバレエ。
選評 ____
ウェブ版「美術手帖」副編集長/安原 真広
本選考のなかではもっとも具象性が高い作風といえ、ホテルとの調和という観点では難しい部分もあるかもしれませんが、日本画が伝統的に持っている住空間のための調度品的性格の可能性も踏まえて選ばせていただきました。モチーフとなっている女性たちが醸し出す積み重ねてきた小さな時間の尊さ、心の機微の表出、会話の予感、たんに美しいだけではない表情など、大変惹かれるものがあります。
■ 杉谷 一考 / 現代美術作家 Instagram→
指先に残る子供の頃の感覚。大人になるにつれて忘れ去られるはずの、無垢な遊びの記憶を呼び覚ます彫刻を制作しています。作品をただ視覚的に見るだけではなく、触ったり遊んだりするという行為を通して、鑑賞者を作品の中に取り込み、介入させ成立していく過程そのものも、作品となります。
主な展覧会に「Art Fair Beppu 2024」、「奥能登国際芸術祭2023」、「Art Osaka Expanded section2023」、「WHAT CAFE EXHIBITION vol.28」、「越後妻有大地の芸術祭2022」、「六甲ミーツアート2019」、「京都府新鋭選抜展2018」など。
選評 ____
ウェブ版「美術手帖」副編集長/安原 真広
ドローイングやメモといった平面における筆致のやわらかさをそのままに、陶によって立体へと落とし込むその技術には経験の豊かさが感じられます。組み合わせによって展開されるブロック状の作品もおもしろく、カラフルな色合いも相まって誰もが鑑賞時に楽しい気持ちになれるのではないでしょうか。様々な人が訪れるホテルで作品がどのように客人を迎えるのか、いまから楽しみです。
■ スズキ アヤノ / 画家 Web→
1995 愛知県生まれ
2020 愛知県立芸術大学大学院 美術研究科(博士前期)
美術専攻油画・版画領域 卒業
身近に存在している風景やものをモチーフにし、絵画を中心に制作。ドローイングを重ねてかたちを探りながら、ポップな色彩と線によってつくりあげてゆく。描かれているものは、どこか動きだしそうな躍動感があり、存在しているなにかのように思われる。鑑賞者は自然と、自身の中にある風景を思い浮かべながら、絵画を見上げているのかもしれない。”ある”のではなく”いる”と感じられる作品を展開している。
「Mitsukurou 01」2022 / 1940mm × 1303mm
キャンバス、油絵具、アクリル
選評 ____
愛知県美術館 学芸員/石崎 尚
くっきりした輪郭線と明確に塗り分けられた色の面を持った、特徴的な絵画を描く作家です。抽象的な絵画なのですがイラストのような親しみやすさもあり、どことなく動物のキャラクターを思わせる温かみもあります。将来有望な作家なので、この機会を良いチャンスと捉えて、思う存分自分の力を発揮して欲しいと願っています。
■ 西村 彩乃 / 繊維造形作家 Instagram→
2000年三重県生まれ。現在は京都府在住。京都芸術大学大学院にて、染織テキスタイルを専攻する。繊維の「撚る」という基本的なプロセスに注目し、その手仕事から生まれる螺旋構造を研究する。身近な素材を撚り上げ、その形と物理的なバランスに生命や宇宙といった自然の本質を見出す。撚る手仕事を通じて、新たな染織表現の可能性を模索すると同時に、人と自然の根源的な結びつきをインスタレーションとして展開する。
選評 ____
ウェブ版「美術手帖」副編集長/安原 真広
まだ主題を色々と探求している段階かもしれませんが、細い糸状の素材を絡ませ展開させていくということに一貫した興味を持っていることがうかがえます。とくに卒業制作展の紙をより合わせることで制作した大型作品は、手作業の執念とともに素材由来の不思議な軽やかさを有しており可能性が感じられました。ホテルの空間をつかってこれらの蓄積がどのように展開されるのか期待したいです。
■ 横山 隆平 / 写真家 PDF→
「都市とは何か」「写真とは何か」をテーマとし、モノクロフィルムによるストリートスナップを中心に作品を展開。流動する都市の姿を、視点やアプローチを変えながら制作を行っている。2020年〈WALL〉シリーズでは、幾重にも出力を重ねた半立体ともいえる独自の技法で作品を製作、2023年にはキャンバスにプリントを施し、油絵の具で自身の内を巡る文字を上書きする〈LETTERS〉を発表。VOLTA NEWYORK 2022(アメリカ・ニューヨーク)、2019年『第8回大理国際写真祭』(中国・大理)など、国内外で活動。
選評 ____
ウェブ版「美術手帖」副編集長/安原 真広
壁面についての興味を、重層的なプリントやペイント、スプレーワークによって表現している点がおもしろいと感じました。多くの人が都市空間のなかで囲まれながらも意識することがない無数の壁の存在を、支持体の素材感を活かしながら、文字や写真を組み合わせて表出させていく作風が、ホテルの壁面でどのような展開をみせるのかが楽しみです。
■ 吉田 尚郁 / 現代美術家 Instagram→
2024年3月に愛知県立芸術大学大学院油画・版画領域を修了し、岐阜市を拠点に現代美術家として活動中。私達は共約不能な文化的・精神的”他者”をいかに理解しようとするのか。いかに共存が可能か。全体主義化・均質化がイデオロギーと化していく資本主義競争社会において多様性は実現可能なのか。こうした疑問をテーマとし、記号論的な観点から探求している。
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愛知県美術館 学芸員/石崎 尚
まだ大学院を修了して数年の若い作家ですが、意欲的に発表を続けています。幾何学的なパターンを用いた絵画作品を得意としていますが、カンヴァスに描くだけではなく様々な素材や発表形式を扱える作家です。ホテルの客室という特殊な空間にはギャラリーとは別の制約が伴いますが、そうした条件を楽しみながら制作して欲しいと思います。
■ 櫻井 大吾 / 現代美術家 Instagram→
三重県生まれ
多摩美術大学グラフィックデザイン科卒業、同大学修士号取得
多摩美術大学在学中、株式会社TBS テレビでのドラマ映像·番組セットを制作。また同時期、多摩アートオブアカデミー(美術予備校)主任講師を務める。卒業後TOPPAN 株式会社入社、書籍·広告のデザイン·ディレクションを担当。退社後、グラフィックデザイン個人事務所FAFを設立。現在、現代アートの制作を行い国際芸術祭、個展、講演会等活躍の場を広げている。
2019年 亀山トリエンナーレ 出展
2022年 亀山トリエンナーレ 出展
2023年 エイトアートギャラリー 個展
2024年 NAZUKARI WAREHOUSE 2人展
侶居ギャラリー 個展
2025年 侶居ギャラリー グループ展
選評 ____
ウェブ版「美術手帖」副編集長/安原 真広
樹脂やレーザーを活用し、平面作品に重層的な表現を与える技術に説得力を感じました。また、光が作品にどのように作用するのか、光をいかに作品の一部とするのか、ということに関しても高い意識が感じられます。時間によって様々に光が変化する室内空間においてどのような演出を考慮しながら作品を展開できるのか、腕の見せどころではないでしょうか。
■ 藤田 薫 / 彫刻家 Web→
1986年大阪府生まれ。2011年広島市立大学大学院彫刻専攻修了。
⼈体、主に「背中」をテーマに乾漆技法で立体作品を制作しています。⼈と⼈との関わりの中で⽣まれる変化や互いの相違など、曖昧で捉えきれないことを、自身では⾒ることのできない背中を⽤いて可視化しようとしています。他者からは⾒える背中は、無意識のうちに⾃⾝では気づかない側⾯を映し出してしまう箇所ではないでしょうか。
選評 ____
愛知県美術館 学芸員/石崎 尚
漆を使った伝統的な彫刻技法で制作する方です。人間の背中に注目するという着眼点も面白く、さらに内側は装飾的に仕上げて外側の印象と対比させる手法も見事です。ブロンズなどの他の素材に比べて漆は軽いので、展示の自由度も高いのが魅力です。春慶(漆器)の伝統を持つ伊勢の風土と、うまくマッチすると思います。